iPodがウォークマンにシェアで敗れる. [ニュース]
アップルは、初代iPod nanoを発売した直後の05年11月、携帯オーディオ市場で6割弱のシェアを獲得。一方、ソニーはわずか1割弱で、大きな差がついていた。この当時と比 較すれば、ソニーの存在感は非常に大きなものになった。カラーバリエーションを合算した09年8月最終週のランキングをみても、1位はiPod nanoの8GBモデルで、シェア21.7%とダントツ。しかし、2-3位、6-9位はソニーの製品が占めており、製品ランキングの上位でも両社が拮抗し ている。アップルは来週9月9日に開催するプレスイベントで新しいiPodを発表するとみられており、新製品が発売されれば首位を奪還する可能性は高いも のの、「2強」でのシェア争いは激しいものになりそうだ。
今回の逆転劇の背景には、08年7月にアップルがiPodの機能をもつ携帯電話「iPhone」を発売し、iPodユーザーが分散したという要因がある。 一方、ソニーは、幅広いユーザー層のニーズを満たすようラインアップを増やす戦略をとった。シェア拡大の要因を同社では「アクセサリ感覚でパネルを付け替 えられ低価格のEシリーズやスピーカーつきのSシリーズ、イヤホンタイプのWシリーズ、高機能タイプのXシリーズなどのラインアップがそれぞれのターゲッ ト層に受け入れられたからでは?」(広報)と分析する。
平均単価の下落もソニー製品の販売台数を押し上げた。09年5月第3週(5月18日-24日)の時点では、同社の携帯オーディオの税抜き平均単価(以下 同)は1万3800円で、販売台数シェアは36.1%だったが、8月以降平均単価が下がるにつれて、シェアが拡大。8月第2週(8月10日-16日)以 降、平均単価が1万3000円を下回ったあたりから4割を突破した。平均単価はアップルより2割から3割安い水準だ。
携帯オーディオ市場全体は09年3月以降、販売台数・金額とも前年割れが続いており、あまり元気がない。しかし、アップルとソニーの2強が僅差で争う中、新たに意欲的な製品が両社から発売されれば、再び市場が盛り上がることも期待できそうだ。(BCN・道越一郎)
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店からPOSデータを毎日収集・集計している実売データベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで125品目を対象としています。
*記事中の「市場推定価格」は、記事掲載時点のものです。市場推定価格は、「BCNランキング」のデータをもとに独自に算出した推定値で、消費税込みの金額で表記しています。
コメント 0